pekeqの日記

過去に書いたブログエントリから反響のあったものを抜粋しています

梅田望夫がブロガーと語る「ウェブ進化論」ログ

梅田望夫(id:umedamochio)さんの「ウェブ進化論」発売記念イベントに、ログ係として行ってきました。


ログは、全て敬称略にて記載しております。ご了承ください。
また、ログ取りにあたり、筑摩書房の永田様にセカンダリのロガーをしていただきました。ありがとうございます。


(2006/5/4追記)私がログ係になったきっかけとなった「フォーサイトクラブ・セミナー「ウェブ社会『大変化』への正しい対応・間違った対応」梅田望夫さん講演ログ」も興味深い内容ですので、よろしければごらんください。

音声ファイルのポッドキャスティング

今回のイベント内容を録音したmp3ファイルはこちらです。

恵比寿に到着

18時過ぎに着いてしまう。早く着きすぎた。
一人だけ、受付のソファーに座っている方がいたので、声をかけたら今日の参加者の方とのこと(後でわかったが、司会の橋本さんだった)。隣に座らせてもらう。そのうち人がやってきて、会議室へ。
会議室で机のセットの手伝いなどしている間に梅田さん登場。名刺交換してみる。「今日は、はてなの名刺を出した方がいいのかな」と梅田さん。

開始前

梅田

今日のイベントの正式名、なんて言うんだっけ?

福田(担当編集者)

梅田望夫がブロガーと語る「ウェブ進化論」、です

はじめに

福田

皆さんこんばんは。
このたび筑摩書房では「ウェブ進化論」(asin:4480062858)という新書を梅田さんに執筆いただきました。


この本の中身を説明すると… 長くなるので、ごく簡単に申しますと
ウェブ社会がどういう状況にあるのか、そしてネット社会とリアル世界がこれからどう変化するのかを
梅田さんの現在の視点でまとめてもらったもの


梅田さんの前の本(asin:4104486019)から、四年半ぶりということで、
この本は現時点でのまとめではありますが、この本を読んで終わりというわけではなく、
この本を読んで、これからどうなるかという議論のきっかけにしてほしいと思って、
ブロガーの皆様にお集まり頂きました。


すでに梅田さんのブログで案内してますが、第1部、第2部と分けてます

第一部が「これからのメディアについて」、第二部が「これからのSNSとブログについて」です。


今日の司会は情報考学blogの橋本さんにお願いしています。


パネリストは第一部が梅田さん、R30さん、FPNの徳力さん。第二部が梅田さん、GREEの山岸さん、はてなの川崎さんです。

梅田

こんばんは。今日はありがとうございます。
本が出たんでイベントをやろうという会です。
一時間やるんですが、一時間でやるにしてはうるさ型が多く集まっているので、一時間で収まるとは思ってません。
でもたまに、こーゆーイベントをやると仲良くなって、
別に仲良くなってなれ合いたいわけじゃないんだけど、
仲良くなって、そこから議論を深めたいと思ってます


ここで全部語り尽くすつもりはなくて、これをきっかけにブログで議論を深めたいと思います。
私も参加します。


さて、このイベントは告知では恵比寿近辺って案内になってて、なにそれ?って思うかもしれないですが、
そこから説明します。


いまここはsalesforce.comの会議室です。
salesforce.comっていうのは、2003年ごろ、私がこの本のきっかけになるようなことを考えていたとき、
シリコンバレーが苦しい今、次の時代を担うのはどこになるんだろう?と思っていた


当時からGoogleは別格ではあったけど、何社かは他にもあるだろうと。
このsalesforce.comというのは、その中で光っていた会社。


当時ダイヤモンド社のLOOPという雑誌があって、そこで自分がUSのIT産業の要人に会うという企画があった。
そこでsalesforce.comのCEOのマーク・ベニオフさんと知り合って、
当時からのつきあいで、東京にいるときの会議室など、無料提供して頂いています。
Googleほど派手じゃないけど、間違いなくビジネス分野のあちら側を牽引している会社。


今回参加された方には、salesforce.comから情報が届きますので、よかったらblog等で話題にしてください。


さて、ここまではCMみたいなもんです(笑)
これやらないと、申し訳ないですから。


ということで、橋本さんお願いします

橋本

Passion For The Futureというブログをやっている橋本です。
梅田さんとは実は会うのが二回目です
一回目は昨年、シリコンバレーYahoo!の本社にでURLというカフェがあって、
なぜかそこでランチを食いました。
今日で二回目です。


二回目にもかかわらず、挨拶を省いたコミュニケーションができるというのは、ブログを読んでいるからかなーと思ってます
でもなんで、今日は私が司会なんだろう?と思います。


たぶん梅田さんとか、R30さんなんかは、blogでネット論とか社会論を書かれていますが、
私もそういうことは読むんですが、自分のブログは書評ばっかり淡々と書いているので
右にも左にもかかわらない、中立的な部分が司会に選んで頂いたのかなーとおもいます。


今日は、ディスカッションと質問でやろうと思います。
台本があるっていうのは1.0的だと思うのでー、言い訳じゃないですよ
パネル間のインタラクティブなやりとりとか、質疑応答からコンテンツを生成する
CGMをオフラインでやろうと考えてます


第一部、第二部両方に質問時間を設けるので、
梅田さんにライブで質問したい、ライブでトラックバックしたいという人がいたら
質問を考えておいてください。



第一部「これからのメディアについて」

橋本

第一部のテーマは、いきなりですが
日本においてメディアの淘汰がどのように行われるか
かなり堅いテーマ


今、メディアというのが明らかに変容してきている
たとえばネットは新聞を殺すのかという本が出たとか、電車男みたいなCGMが出版を殺すんじゃないかとか、
ホリエモンがTVを… 結局殺さなかったというか、逆になっちゃいましたが
殺すというほどではなく、大きく変革している流れがある。


そこに、こういうウェブ進化論が出ましたが、
最初に、梅田さんにこの本をベースに、問題提起をお願いします。

梅田

パッパッと話を展開させようと思うので、本の内容を繰り返すつもりはないんですが
ぼくはメディアの淘汰、統合、再編というのは、みんなが騒いでいるほど起きないんじゃじゃないかと思っています


インターネットの世界というのが、これからものすごく発展するというのは、この本でも書いているけど、
それはそれ、既存メディアは既存メディアみたいな、2つの別世界が相当長い間続くんじゃないかと


もちろんそれを俯瞰したら、広告費がこっちは伸びてるけどこっちは頭打ちみたいな
マクロのシフトが起きるんだろうけど
既存のメディアが変質するのはあんまりないんじゃないかと。
ネットと既存メディアの役割分担がきっちりしていて、あんまり変わったり混じったりしないんじゃないか?


と仮説として思ってるんだけど、どうよ? というのを問題提起にしましょう。

橋本

その点、既存のマスメディアの中にいながら、革新的なことを発信しているR30さんはどうでしょう。

R30

R30です。こんばんは
今日はこの話から始まるだろうなーと思って、
実はもう今日の七時に書評をアップしてます


そこに書いたは、Googleってのがなんなのかという、
Googleに対する解釈が、私なりに書いてある
Googleというのは情報の組織化のイノベーションですよね、という話


いまメディアの話を振られたので、メディアという話をすると、私が梅田さんとまったく同じ考えをしてました
ただ、メディアが変わらないというか、われわれがメディアを見る目、意識が変わってしまうだろうと


たとえば、ニュースを報道するメディアをみていると
ネットからメディアを見ていると、明らかに過剰なネタ的な取り上げ方だけをメディアがしているように見える
耐震強度偽装にしろ、ライブドアにしろ


それを見て、みんな「なんてメディアって軽薄なんだろう」と思っていると思うんだけど、
でもそれは当たり前で、そこですでに役割分担が始まっていると思っている。


Googleの果たす役割は、理知的なレベルでの、欲しい情報と、ほしがる人のマッチング
一方で、理知的なレベルの情報を必要としてないというか、もっと過剰な情報をもとめている
それが本当かどうかという議論じゃなくて、もうネタでしかないんだけど
そういうおもろいネタしか求めていない人が、実は多いんじゃないかと
そこは、Googleにはどうにもできない部分
そっち方面に、リアルのメディアはふくれていくのではないか


そういうネタ提供的な方面に、リアルのメディアを押し込むというか、押し出していくように
これからのネットが働くんじゃないかな

橋本

徳力さんは、本業はP2Pのソフトの会社をやっていて、
同時にコミュニティをやっていて、


徳力さんのやっていることは、
コミュニティの中からメディアを作り出すことをしていると思うんですけど


FPNとマスメディアとのかかわりで
運営方針とか、違いを出している部分というのはありますか?

徳力

まず、梅田さんの質問の話をすると、
私も人間の情報摂取のライフスタイルが急に変わるとは思っていないので、
既存のメディア産業が、急に変わることはないんじゃないかなと思う


わたしはいち利用者というか、ブロガーなわけなんですが、
若い人の情報摂取のスタイルが面白いと思う


例えばうちは新聞を取っていないけど、嫁さんは毎日Yahoo!トピックを見て新聞の代わりにしている
そういうネットを中心にした情報摂取によって、組織で運営されていたものが
個人に対してどう変わるかというのが興味がある。


FPNをニュースコミュニティとしてやったのは、メディアに対抗しようと思ったわけではなく
個人が出している情報を、まとめてみようと思った
ネットの中にばらばらに情報があると、結局誰にも見てもらえない
なら集めてみたらどうよ、というのを実験としてやっている


さっきのR30さんの話と絡めると、最近理解したのは
メディアの役割って、流通チャネルの部分と、コンテンツを作るという部分しかないのかと思っていたけど、
そこの間に見せ方を考える編集という要素があって、そこが結構でかいと思ってます。
そこを握っているのが、Googleだったり、はてブだったりするんじゃないかな
というのを運営しながら思っています

橋本

はてなブックマークを私も最近よく見ますが
面白いのは、結構混じっているんですよね
個人の情報とマスメディアの情報が、いくつリンクがあったかでランクされていて
同じ世界に存在している


つまり、二つの世界はあるていど並行して存在するんじゃないかなと


でも、読む時間というのは限られているわけで、
両方読めるわけじゃないですよね。
そういう意味でつぶし合い、殺し合いっていうのがおきるのでは?

梅田

マクロで見たら、つぶし合いはあるかもしれない。
でも、新聞、テレビはネットに過剰に反応している


既存メディアがアンフェアだなと思うのは、
既存メディアは製造業とか他の産業に、なにやってんの?もっとがんばれよ!とか言ってる
それで、ここ十年、製造業でもサービス業でも必死にやっているわけ
一方で、メディアは何にもしないで、じゃぶじゃぶの経営をやっている。
それで他人には厳しくいってる


殺すとか大げさに言うな
製造業に対して言ったことの、半分くらいは自分でやれよ!って思う
他人にあれこれ言うだけじゃなく、自分でそこまでやれば、
普通に生き残れると、メディアに対して思っている


みんなそう思っているんじゃないかな。
だから、若い人からメディアに対する批判がわきあがる。


メディアってのは言論を持っているから、自分をおびやかすものを、
言論の力を使ってつぶしにくる。
再販制度に対する反応とか、ネットに関するネガティブな反応とか
土台を言論によって変えて、自分たちはじゃぶじゃぶな経営を続けてる。


これはきわめてアンフェア。
ここにマスメディアの問題があるんじゃないか

橋本

R30さんどうでしょう

R30

じゃぶじゃぶなメディアから、もう逃げた人です


梅田さんの言うことは正論だと思うんですけど、
人間ってのは、自分自身が学べない、成長できないって思うところには、
身を置かないとおもいます。


マクロの目で見れば、既存のメディアからネットにパイが移るというのは流れだけど、
企業の盛衰はともかく、人間個人の目で見れば、どっちにいようが関係ない。
自分が成長できればいいわけで


メディアに対する批判ってのは、去年まではさんざんやってきたんですが、
最近はどうでもいいなって思う。


今後、メディア的なものは、いろんな企業にうめこまれていく。メディア企業だけじゃなく
いろんな企業に、メディア的な経験が必要になってくる。
そういう中で、メディア的な経験が、確実に流動化できるという時代が確実に来つつある。


そういう意味で、あんまり悲観はしていない。


橋本

もうひとつ


混ざっている中から選び出すというものがある
玉石混合のコンテンツから、読者がいいものを選ぶ
ユーザが選ぶという意味で、ブログがマスメディアになる可能性もある。


梅田さんの本を読んで、どうなるんだろうと思ったことがあって、
玉石混合の中からいいものを選び出すしかけと、秩序が自動的にできていくということに関して
梅田さんはネットにかなり期待しているが、
その確信の根拠は?

梅田

そういう方向に進化するはずである
その中から何かが生まれてくる
とはおもっているけど、
それがメディアをおきかえるとは思っていない。


ネットの世界がより豊饒になるために、
たとえばはてブのような、自動秩序形成の仕組みがある


はてブのユーザというのは、ITリテラシーが高くて情報感度が高い人たち
ITが好きで、おたくっぽい人が集まっている。
だから、とんがったものが上がってきておもしろい


ここでユーザ数がどーんと増えてきたときに、もっととんがるかと言えば、
よくわからないし、そうはいえないかもしれない


マスコミがやっている編集機能ってのは、マスに対するリアクションの経験値を持った人が
やっている。
ネットの自動秩序形成というのは、また違うものを形成する


ネットというのは能動的なメディアなので、
ヒマがあって、自分から動く人にしか作用しない

そうするとどっかに受動性を入れないといけない
それがはてブなわけだけど、
その受動性ってのは、新聞や雑誌から来る受動性とちがうんじゃないかな?と


どんどんすすんでも、2つは別の世界
ネットで情報を得る
編集されたメディアから情報を得る


また、一人の中でも、
深く知りたい部分はネットで、
広く浅く知りたい場合は雑誌とか使い分ける
そういうのはずっと続いていく


Googleはてブを、編集者が使うとかはあるだろうけど、
二つは根元的に重ならない、
パイの取り合いはあるだろうけど

橋本

能動的と受動的
その二つって、十年後くらいには、どのくらいの割合になるの?

梅田

ネット側(能動的)の人って、全体の半分も行かないんじゃない?
半分行けばすごいと思う

橋本

それぐらいの割合だったとして
市場規模の比率は?

梅田

経済的には、既存メディアの方が圧倒的に大きいままだと思う


ここは難しいとこかなー
でも、ネットの世界というのは、なかなかお金が回らないですよ
リアルな世界はお金が回る


でも、携帯はなぜかお金が回っている
ネットはなかなか回らない
私は日本のことよくわかんないんだけど


グーグルは圧倒的低コストで、
細かいところをものすごく巨大になるように集めているから回るけど、
でも、その真ん中ぐらいのビジネスをどうするかが難しい


例えば、雑誌作って、ヒットすれば二ケタ億くらいの事業ができるかなー
くらいのカジュアルさで、
売り上げを立てることのできるメディアがネットで生みやすいかと言えば
生みにくいと思う

ぱらぱらしたものがたくさんあって、それが集まってマスになって、
それがリアルを越すかというというのは、考え方はいろいろあるけど
例えば、市場規模の半分までネットが行っても、
お金の落ち方はリアル(既存メディア)の方が多いんじゃないか

橋本

徳力さんは、FPNで、ニュースサイトをユーザ同士で運営されている感じですよね
最近は出版(asin:4798110205)までされてますが、今後の展望とかどうよ?

徳力

FPN自体はみんなの趣味で運営されているので、展望というのはあんまないです。


さっきの梅田さんの話に、あえて反論らしきことをしてみると
メディアの世界は、ここが恐ろしいところなんじゃないかと思っているんですが
さっきメディアはコンテンツと編集と流通で成り立っているという話をしましたが
流通がインターネットになって、コストゼロでメディア的なことができるとなったとき
既存のメディアの人は、コンテンツに価値があるとおもって、
自分たちがコンテンツをしっかり作れば、そこを押さえればいいと聞くんだけど

今、ポイントはコンテンツを見つけてくる、編集というのに力が集まっていて
そこをいかに押さえるかという話になっている


コンテンツを作るというのが、趣味で成り立ってしまうというのがメディアは怖い
例えばパンを作るのが趣味といっても原価がかかるからタダでは配れない


でも、ジャーナリズムというか、例えばブログみたいに、コミュニケーションを楽しんだ上で
結果としてコンテンツがどんどんできてしまうこともあるわけで


既存メディアの人は、自分たちがコンテンツを作る人たちだと勘違いして、
コンテンツに依存しすぎると、
編集する人に力がうつって、作る人がじり貧になる可能性はある


そうなったときに
いまのメディアの人たちが言っている、メディアでないとできない部分というのは
どうなるんだろうということについて聞きたい

橋本

R30さんに聞きたいんですが、
コスト度外視でユーザがおもしろがってコンテンツ作るというのは
本来お金を取れるべき部分も取れなくなることになりますが
そういうのってどうよ?

R30

梅田さんの話を聞いて
自分はもっとずっと梅田主義者というか、Google主義者だと考えている。


Googleが火をつけたイノベーション競争の重要な部分というのは、
適切なコンテンツを適切なユーザに結びつけるマッチングが、すごい効率的にできる
マーケティング用語で言えば、ネットの方がセグメントが的確にできてしまう


今まではメディアの方が、適切に広告が届きますって言えていたわけだが、
今後はネットの方が、コンテンツにしろ広告にしろ、もっと的確に届けられてしまう。


顧客のセグメンテーションというのがマーケティングの最初なわけだけど、
そこをネット側から発信する形になってくる
ネット上でセグメントされた人たちに対して、メディアの方が後からとどけてくる


セグメントされた後のデリバリーについては、既存メディアの規模を使えるけど、
マッチングの段階は、ネットが主導権を握るんじゃないかと。
そうすると、マスというのが崩壊して、マスメディアがなくなってしまう。
この地域新聞とか、この趣味の人だけ雑誌みたいな、ターゲットメディアがいっぱいできるんじゃないかと
そしてそいつらが、ネットとセットで、ハイブリッドでやってくるという時代がくるんじゃないかと思う


ネットとリアルのハイブリッド構造をつかんでいけるメディアが生き残れるのでは
おそらくそういうメディアは既存の中からは出てこなくて、
そういうことを認識している人がメディアとして立ち現れてくる


一方既存のメディアは、マスを解体されていくので、
TVなんかも、規模の経済が働くけども
一方で、電波でデリバリーされてきても、Tivoとか、DVRとかによって番組がバラされて、
マッチングされて届けられるという、そういう形になってやってくるんじゃないかと。


既存のメディアが既存のメディアとして残るかといえば
コンテンツは制作する専業体勢があるから、素人だけじゃなくて
プロが作るものというのは存在しうるとおもうんだけど、
デリバリーのネットワークで、ネットに歩み寄れる既存メディアがどれだけあるのか
というのがこれから五年ないし十年の勝負かなと思います


橋本

第一部のパネルディスカッションの最後の質問として、梅田さんに質問

R30さんのように、Googleはマスメディアを解体してしまうという
ラディカルな考え方がありうるのではないか


だとすると十年後、Googleがそこまで力をもったとして、
Googlezonはあらわれるのか?
GoogleAmazonがくっついて世界を支配するのか?という予感がするんですが
10年後、Google的なものはどういう存在になっているんでしょうか

梅田

本にも書いたように、R30さんの言った方向のことはおきると思う。
でも、メディアを解体するところまでいくのかなとは思う。


なぜなら、今いる人、あるいはこれを読む聞くしている人は
「そっち側」から見ているから、面白いと思っているけど
でも、逆の側にいる人に全然届いてない。というのを実感することが多い


私は日本の中で、よりエスタブリッシュメント層というか、
リアルな社会で忙しく働いているひとの層。
ネット世代、ネット大好きみたいな若い人じゃない人


そういうひとに、こういうことが全く理解されないという感じをもっている
そういう実感があるから、そう簡単にマスメディア解体みたいなことが起こるとは思っていない


ここにいる人たちが見ている変化が、これから十年でびっくりするほど進歩すると思っているし、
ぼくはGooglezonのビデオは、きわめて凡庸なビデオで、実際はもっと変な、すごいことが
起きるんじゃないかと思うけど、それでも、マスメディアの解体にはつながらないと思う。
ネット見て、すげーぜと言っている人の隣で、新聞を読んでいる人がいる時代になるんじゃないかな。

橋本

共存するってことですかね

梅田

いや、これを押しつけるつもりじゃないけど、
とてつもなく、このことを理解してもらうのが大変な人がいっぱいいるというのを
実感しているってことかもしれませんね

橋本

司会なんですが、最後の自分の意見を
基本的に梅田さんのご意見に似てるんですが


ひとつあるかなーと思うのは
全くネット的なものを全くわかっていない人たちの層のことを、女子高生的と言うとして
反対に、ネット的というのがあったとすると、
ところが最近、女子高生がブログを書いている


この二つの接点が、すごい若い世代で一緒になり得ることがあるんじゃないかと
最近思う
ネットリテラシーがないのにブログやってる人が、若い層でたくさんいる
その人達がこれから十年育ってきて、どうなっていくんだろうと思っている

梅田

若い世代から変わっていくというのはあると思うが
こういう変化は時間がかかる
最後には変化は起きるんだけど、想像しているよりゆっくり起きると思っている


20年後になると、R30じゃなくてU30だっけ、若い起業家の人が50歳になる
そうすると随分変わるんじゃないかという気はします

橋本

当分は1/4が老人ですしね

R30(?)

そういう締め方ですか(笑)

第一部 質疑応答 (1)

渡辺

CNet Japanで同じくブログを書いてます。渡辺です。


メディアの収益源というのは、企業のマーケティング費用とか、
消費者からの支払いになると思うんですが


大元の、産業界の方で明らかな変化が出てきていて、
2、3日前に、accentureのほうに
メディアマーケティングとバイイングの胴元をしたいという
オーダーを出した自動車会社がある
これはおそらく根本変化のスタートラインじゃないかと


平たく言うとメディアに対してネットはメタポジションにいるので、
全部をすれるポジションにいるというのがぼくとR30氏の基本認識で
立場が全く違うというのが基本認識なんですが、
企業側がメディアのストラテジーを変えはじめていることに対するご認識は?

R30

まさにそうで、
ぼくなりのWeb2.0の解釈は、フロントエンドからバックシステムへの転換


今までのインターネットというのは、皆さんの目に触れるところにあった
そういうところで、はてブみたいなのをみんなが楽しんでいる


ところが、これからは違ってきて、
例えば私と梅田さんが隣同士で新聞を読んでいたとして、
同じナントカ新聞なのに、一面から中身が違うというのが起こるんじゃないかと


バックエンドにネットがあって、どういう記事を読んでいるかを見て、
それにあわせて完全にカスタマイズしているのだが、
アウトプットとして出てくるのは紙であったり
そういうことが起こりうるのではないかと


企業が狙っているのも、ネットをもっとメタに見て、
その後ろで動くシステムとか、
プランニングとかポートフォリオを考えるシステムを、Webで何とかしてよ、
そこのウォッチングシステムを作ってよ
と言うのが、さっきの自動車会社のオーダーじゃないかな

梅田

ぼくはあんまりそうならないんじゃないかと思う。
いつも思うのは、理論的にこうなるというのがあっても、
理論よりどんどん進むところ、進まないところがあるなと思う。


二十年近くシリコンバレーを見てきて思うのは、とにかく理論は出てくる
こうなってこういう世界になるという理論があって、
予測以上にどんどん進む場合もあれば、
かけ声倒れでダメになる場合もある


ある理論が出てきたときに、
ベンチャーとか、それぞれの可能性に対して1個できるけど、
それがつぶれたり、生き残るのを見ると、
例えば企業といっても、(ベンチャーが)おつきあいしているのは企業の中ですごい先進的な人たち。
それが企業全部に波及するとか、先端産業が他のところに普及するとか
そういうときに、ぐーっと普及するものもあれば、
全然そうならずに理論倒れのものある、


いまの2人の議論というのは、ぼくとしてはあんまり起きないんじゃない?
という直感がある。

橋本

進化の速度を弱める圧力というのは何なんでしょう?

梅田

世の中、ここにいるような新しい物好きな人ばっかりじゃないっていうことですよ。
あと、新しい話というのは、お金をあまり産まないというのが自分のベースにある


例えば、レコードがCDになった、全部CDになったじゃないというのが
よくリアルとネットのアナロジーで出てくるけど、
ネットとCDの決定的な違いがあって、
レコードからCDというのは、関係者全員が行きたかった


ミュージシャンは音がよくなるし、レコード会社は高い値段を付けて、コストが安くなる
全員にインセンティブがあったから、みんなが行きたかった。
唯一、プレイヤーを作っていた人だけが気の毒なことになってしまったけれど、
残りのマジョリティはCDに行きたかった


今は必ずしもそうじゃない。
売り上げ一兆の会社なら、最初はトライアルをやるけど、
その後一気にやるかといえばどうかな
そこで進化の速度が変わってくると思っています

渡辺

日米のシナリオには違いがあるので
日本ならばそういうことになるのかなと思うんですが
そのへんふまえてどうでしょう


USのほうがGoogle的な方に行きやすい産業構造になっているので
メディア産業が成立していて、資本の動きが解体に進みやすい


日本だと電通的というか、ブロックされた状態なので
急には行かないかなと

梅田

いまは日本の話をしました。

橋本

進化のスピードについて、まさに「ウェブ進化論」みたいな話をいただきました

第一部 質疑応答 (2)

ck

デジモノの人です


変化のスピードがそう進まないんじゃない?という話をしていたけど、
一般の人たちにアピールするために、私たちはどうしたらいいんだろう?
梅田さんの後ろを押すためになにをしたらいいのか? 努力の仕方はあるのか?

梅田

努力の仕方ってのは、
ひとつはこの本を書いた理由のひとつとして、言葉を尽くすことの重要性ということ


自分たちがよくわかっていることを、ぜんぜん知らない人たちの前で、
ちょっと話してすぐあきらめる、というのをよく見ている
そういうことでは、なかなかブレイクスルーは生まれない


全員にいきわたらせることはムリだとしても、
ちょっと言葉を尽くせばわかってもらえるというのはできるだろう。
そうしないと、お金をあつめてプロジェクト起こしたりするのも大変だ


そういうことに、この本を活用してくれるといいかなと
その延長線上に、サービスを作る、
リソース投入する、人やお金を集める


その前提に言葉がある。言葉を磨くのが重要
それを信じて、私はブログ書いたり本書いたりしてます。

R30

私はそのへんには楽観的で、
面白いコードかけばいいんじゃない?そうすれば面白いものが見られるから
同意してくれる人も増えるんじゃないかと


自分自身も粘度の高い組織の中で
ちょっとした変革プロジェクトをやったことがありますが、
結果を出すのが一番早い


人間、見ないとわからない
見せてしまって、ああすごいね、面白いねと言ってもらうのが先じゃないかなと
そのレベルの話ではないかなと


コード書ける人はどんどんコード書いて!
コード書けない人はblogどんどん書いて!
どっちもできない人はマネージして!
それ以上でも、それ以下でもないんじゃないかなと

徳力

ckさんの問題意識はすごいわかる
私も大組織出身なのでおなじ考えなんですが、


私はFPNやったり、頼まれてもいないのにアルファブロガー投票企画やったりとかしてますが
これは自分がネットのおもしろさにハマっているのの一環で、
みんなにそのおもしろさを伝えたいと思ってやってると思っていたんですが
最近考えが変わって、
R30さんがいうように、思ったより速いスピードで伝播していると思う。


小学生でもブログ書いているし、
増田さんという方の団塊の世代向けブログの本(asin:4047041874)がすごい売れて、
退職した後でブロガーになる人が増えているらしい


ブログに限らず、コミュニケーションは楽しい。
楽しいことをやって、楽しそうにしていれば、自然と増えるのかなと思う。


たまたま身近にわかってくれないひと、うちは奥さんなのですが、
そういうのがストレスになったりもしますが、
その人達も変わっていくんじゃないかと
携帯メールを自分の親がやるなんて思わなかったし。
面白ければ自然とそうなるんじゃないかと思います。

第一部:完

第二部「これからのSNSとブログについて」

第二部は、梅田さん山岸さんの掛け合いが見せ場なので、お時間のある方はぜひポッドキャストもお聞きください。

橋本

第二部は、GREEの山岸さん、はてなの川崎さんにパネリストに迎えまして、
これからのブログとSNSについてがテーマ


私はSNSもブログもハマっているんですが、
SNSは最近ネタ切れ気味な感じがする。


これ以上、中で何をやろう?
掲示板とか、やる気が起きないし
仕事中にやるとバレるし


最近SNSってどうよ?どう使われているの?
というのをGREEの動向からお話ししてもらいましょう

山岸

GREEで一番多いのは、人のプロフィールを見る、日記を見る、コミュニティやるというのが大きい
もともとGREEはプロフィールに紹介文を書けるのがウケていて
プロフィールへのアクセス中心だったけど、最近は日記が結構伸びている
新しいユーザさんは日記を結構使ってる


ユーザ間のメールも伸び続けていて、
コミュニケーションが中心なのかな。友達の動向を見たいとか

橋本

最後の議題を、ブログとSNSはどう成長するかというのにしたいんですが
成長の方向はいろいろあると思うんですが
コミュニケーションツールとか、ビジネスツールとか


SNSとしてのGREEの成長の展望は?

山岸

あんま難しいこと聞かないでくださいよ(笑)


GREE自体の基本機能としては基本機能であるプロフィールと日記を伸ばすのが中心で
細かくいじってます。改良している


機能をガンガン増やすのではなく、
基本機能の中でユーザが望むことをやっていきたい。


ただ、会社としてはどうビジネスにするかを考える必要があって、
そこをいろいろ考えてます。

橋本

梅田さんのご意見は?
梅田さんもSNS使ってますよね

梅田

最近、SNS使ってないです。最近は全然やることなくなった。

山岸

でも結構ログインしてますよね?(笑)

梅田:

ブログへのアクセスがあるんですよね
あと、日記を見てたりします
アクセスはたまにしているけど、使ってはいない


ところで、聞きたいんですけど
GREEのコンテンツってのは検索エンジンにかかるの? (かかりません:山岸)
今後はかかるの? (プロフィール、日記とかユーザ側で表明すれば出すかもしれないけど:山岸)
基本はない? (ないですね:山岸)


私はそこがブログとSNSの決定的な違いなんじゃないかなと
オープン性とクローズ性


SNSというのはWeb1.0の最後に生まれたアプリケーションであると思うんだけど、どうよ?

山岸

そうですねー
Web2.0ってのは、なんなのかなーってのを思っていて、
よくわかんないし (そうやってはぐらかさない!:梅田)
クローズ・オープンとかは違いかとは思ってはいるんですが


話はずれちゃうけど、先日の話
adobeWeb2.0関連投資担当の人が来ていて、その人の話だと
USでは、SNSってのはGoogleが唯一検索できない部分だから、
Google以外で何かあるとしたら、SNSかもねー、みたいな話があって
GREEにやってきた、という話があった


Google = Web2.0という文脈ならそうかもしれないけど、
CGMとか、そういうのがWeb2.0であるという切り口で言うと、
ユーザがコンテンツを作って、その上でコミュニケーションをしているみたいな
コンテンツの作り方とか、ユーザとサービスの関わり方とか、
新しいことをやっているわけで
そういう意味ではうちも新しいサービスをやっていると言えるんじゃないか

梅田

なるほど
まー、Web2.0の定義は、今日ここではやらないようにしましょう


ただ、オープン対クローズという問題が最後までつきまとうでしょ? (つきまといますね、はい:山岸)
クローズなところが好きだから、ブログじゃなくてSNSの中で日記を書くわけでしょ?

山岸

いや、ユーザはそういうことを気にしてない人が多い (そうかなー?:梅田)
うちのユーザがなぜGREEを使うかといえば、
ブログより友達が見に来るし、ブログ書くよりコメントがつくしみたいな、
そういう感覚ですよ

梅田

ただそういうのって、クローズだからコメントがつくわけだよね?

山岸

いやでも、GREE内検索というのがあって、検索しようと思えばできる
30万人ユーザがいる中で…

梅田

いや、未知の人がGoogleつかって飛んでくるってのはないじゃない?
GREE検索はGREEの中の話だよね。

山岸

いや、GREEの中ですけど、30万人も人がいたら…

梅田

ただ、そこが随分違うというのがぼくの感じ方 (それはまあ、そうですね:山岸)


オープンがいいとかクローズが悪いとかじゃなく、
そこに明確な違いがあって (あると思います:山岸)
それがGoogleにひっかからないとすれば
広告売るとか、会費取るというビジネスになるしかない

山岸

それはそう思います
ロングテール部分は取りにくいビジネスモデルだなと


でも、ヘッド型とロングテール型のビジネスって違いがあって
比べたらヘッドの方が大きいかなと
うちの場合は、ロングテール取れるからと言って
どんくらい売り上げがあるのかな、
取って意味があるのかなーという考え方もある

梅田

いや、SNSのビジネスを否定するつもりはないんだけど、
ビジネスが違うな、と思うんだよ
ブログとSNSは、ぼくの感じからするとすごく違うもの
CGMとか言うけど、そこ(ブログとSNSの間)には大きな、根元的な違いがあるなーと思うんだよね

山岸

それはユーザから見た側からの違いですかね
ブログをやる人、SNSをやる人の違い

橋本

川崎さん、
はてなってのはSNSとblogを両方やってますね。
SNSソーシャルブックマーク
かつオープンなもの


はてなSNSはどう成長する?というのでどうよ?

川崎

はてなってのは、SNSを指向する会社では全くない
ロングテールのビジネスというのが、はてなには重要


例えばはてなダイアリー
キーワードと連動するのがおもしろみのひとつ


キーワード、15から16万くらいあるんだけど、ひとつひとつのページビューは
ゴミみたいなもの。
少ないと一月10hit、多くても数万行けばすごいなーという感じ


ものすごい長いしっぽ
そういうのをまとめて、会社として何とかなるというのが、はてな


はてなが会社としてやっていけているのは、でっかいところは取らずに
しっぽばっかり食べているから


ロングテールのしっぽばっかり食っているのがはてな
それで回っているという感触がある


そういうのができるのは、GoogleYahoo!のサーチから
お客さんが来てくれるというモデル。
オープン性を前提としたロングテールというのがないと、はてなはやっていけない

橋本

そういうのが、1.0/2.0的な違いなのかなと… (いやいやいや:山岸)


次のテーマとしてはCGMの収益モデルについて
川崎さん、ロングテールのしっぽっておいしい?もうかる?

川崎:

かけ算じゃないかなー、かけ算したら同じかなと


SNSは閉じている故に、熱量がすごい高い、濃いコミュニケーションができる
ビューが少なくても、濃いので、「少ない×濃い」のかけ算でもうかる。
はてなは、ロングテールなので、一つ一つの熱量は少ない、薄いけど、
利用者が多いから「多い×薄い」のかけ算でなんとかなる。


あとAPIをオープンにして、外部のサイトから利用可能にして、
リミックスして、他のサイトに使ってもらう
はてなとこれの組み合わせで面白いというビジネスを広げていけたらと思っている


はてなにとってCGMっていうのは、自分たちだけで作るものじゃないで、
いろんなサイト、人とかかわって、はてなのデータを使ってCGMをつくっていければいいなと


SNSとか、GREEとかがどう考えているかはわからない
はてなは、こういう考えでやっている

橋本

梅田さんはそういう川崎さんの会社の取締役をしていますが、
それは展望がある会社だと思ってゆえだと思うんですが、


なんで役員になったんですか?
何が収益源になると思っているんですか?

梅田

ぼくはオープン・クローズの差というのに違いをすごい感じている
SNSというのは、ちゃんとやれば確実に儲かるんだろうなーという確実感があって
(お金の稼ぎ方が古いのは確かですね:山岸)


SNSWeb2.0っぽくなるためには、
ユーザ数がほんとに多くなって、インターネット空間くらいの規模になって
それぞれのユーザが作った情報をメタ的に活用して、価値を生むというのは2.0的だなーと


でも、今は確実に儲けるプランで確実に走って、IPOするか、売却するかという
そういうのをExecution Playって言うんですけど、
やることはわかっているから、やろうという、こういう感じに思う


一方、はてなはどうなるかわからない。全然わかんない
ロングテールがうまいのか、まずいのかも、やってみないとわからない。
やってみないとわからないというのを、面白いと思うからやってます。


GREEとかと比べれば、はてなはハイリスクだとは思う
ハイリスクなのはわかっているんだけど、ハイリターンとはわかってないのが
はてなの残念なところ。


そういう感じかな

橋本

SNSとか、ちゃんとやってれば儲かるという話でしたが
収益源ってどうなるの? たとえば10年後はGREEはてなは何で儲けてるのか?

山岸

今の稼ぎは、ほぼ100%広告収入
電通博報堂DACCCIなどのメディアをおさえているところ経由
一部直接もある。大手クライアントさん


これが、しばらく柱なのは確か
ただ、コンテンツの中にマッチングできるものが増えてくれば、そういうのもやるとおもう。


アットコスメさんとかはCGMの会社だと思うんですけど
そういうところはヘッド型、リーチ型の広告とか、ロングテール型の商品を組み合わせている


あっちはオーブンじゃないという話もあるけど、
うちもユーザ数が増えれば、そういうこともできると思う
そういう風になる可能性もあるかな


ただ、現在は、いわゆるマス広告です
そのうち、キーワード広告はするかもしれない


ただ、10年経ったら、例えばASPやってるかもしれないし、会社としてはわからないけど
GREEというサービスとしてはそう思ってます

川崎

はてなは、社内的には、大きく分けると自動・手動と分けていて
自動というのは、ページが稼いでくれるもの


たとえば、AdSense/Amazon/楽天のように
ページがあって、そのページになじむように広告を配置するとか
あとはユーザの目にとまるように広告を配置して、
配置するところまで。モノを入れるというのに手作業を入れない。
巨大な個人アフィリエイトみたいなのがはてな


手動というのは、山岸さんの話にあったような
はてなのここに載せたら、広告主さんが喜ぶというモデルも考えていて、
それらを組み合わせようとしている。


今の状態で言うと、巨大な個人アフィリエイターというのが
はてなの偽らざる現状。

橋本

普通に、AdSenseの画面に何千万とか何億円とか出てるんですか?
素朴な疑問

川崎

えー、お金の話はよくわかんないんですけど
個人? みたいな感じはあると思う
でも、それが偽らざるところ


あとは、昔と違って、
amazonなんか最たる例ですけど、
ああいう、事業者の組み合わせの方法によって…
たとえば、あるamazonの商品を、はてなユーザがどの時点で語ったか、
レビューを書いたかといったリストを動的に作ったりとかが、
amazon Webサービスを使えばすぐできる


あとはGoogle mapsみたいな
これも地図サービスなんて全然考えてなかったけど、
なんとなく漠としてやりたいなーと考えていたのを、
GoogleAPIを公開して、はてなのサービスとして組み合わせると、
ある地点において、写真を撮る
撮るためのサービスははてなフォトライフとしてあった。
それとの組み合わせで、全く新しい、写真と地図が組み合わさったサービスができる
そういう時代が整いつつある

かつ、amazonだとWebサービスアフィリエイトの収益が組み合わさっているので
楽しみながら、工夫によって金が儲かるものができているというのは
前と全然違う


私もネット長いですけど、
これまでのアフィリエイトというのは、ひたすら手作業でリンクをはるとか
手間ばっかりかかって全く儲からなかったけど、
Amazonなんかはプログラム可能な仕組みなので、全然違う


そういうのはこれから広がっていくと思っています。
はてはな、そのへんでいろいろやろうと思っている

組み合わせですね。

橋本

今のを聞いて、社外役員としてどうよ?

梅田

ぼくはUSでVCをやっていて、いつも外れるのは、マクロにものをみて、
こういう方向にいくから、こういう会社はうまくいくだろうと思って投資すると、
大抵投資先はうまくいかない(笑)
ということを一応前提に、マクロに見ると、いまの川崎君の言葉は正しい。
だから成功するって意味ではないということなんですけど、


ぼくが考えるに、Googleが出てきて、前後で何がわかったのかというと、
Google以後に変わったことの一例が、いまの話。


Google以後って言うのが、これからどう変わるかはわからないからリスクも高いし、
ビジネスモデルもまだ未確定。


だけど、ぼくはGoogleMicrosoft以来のプラットフォーム企業だと思っている
広く言えば、Google/amazon/eBay/Yahoo!がまとまって、インターネットの2nd decade、
10年が最初経って、これらが次の10年の中核になり、
ある種のプラットフォームになって、これからの時代をまとめていくんじゃないかという
世界観を持っている


そうやってプラットフォームになると、
Microsoftのまわりに、Oracleとか、いろいろベンダーがあったように、
四社だけウマーということではなく、その周囲にいろいろできると思う。


そういう時代的な大きな流れがあって、
なおかつ、そういう流れにあったようなビジネスモデルを試行しているとことの
誰かはうまくいくんじゃないかな、だからはてはな面白いんじゃないかな、と


こういう考えでUSで投資してうまくいったことはないんだけど(笑)
だけど、そういう考えでやってます。

橋本

事前のお題としてあった
Web2.0スタートアップのexitの仕方について


大手が買収するという未来しかないのか?という
例えばGREEも…
GREEは1.0じゃん(笑):梅田)
(いや、ちょっと、いやいえいえ:山岸)


まあそういう、最近はやりのWeb2.0企業
これの上がり方について、梅田さんどうよ?

梅田

いまのところ見えているexitは、小さなIPOか、列強に吸収されるしかない。


USでは特にVCが…
いや、あの半分冗談だから。GREEが1.0ってのは。気にせずに


小さな会社がVCに、どうやってexitするんですかと言われたとき、
どっかに買収されると、はっきり言わないとお金もらえない。
だからUSではみんな買収目指して走ってる


いまVCからお金を集めると、最終的に売却するしかないのかなーというのが結構あって、
それも含めて、はてなではVCからお金を集めてない。そういうこともある。


Web2.0の会社がここから先どうなるのか
Googleにはなれない。それはプラットフォームだから。その周りにいることになる。


Googleみたいのは、10年、15年くらい経たないと、次の新しい会社はでてこない
Googleと四つの列強の周りに、どう生き残るのか
それがこれからスタートする企業の宿命。


それが列強に吸収されるのか
それともその周りに大きなものができるのか、それがどれくらいのスピードでできるのか。


VCからお金入れるとスピードが要求される。四年、三年、五年とか
そのスピードで本当にexitができるのかどうかが、
ぼく自身について言えば、Web2.0会社、自分で言えばはてなについて、確信が持てない
だから早くexitしなきゃいけないお金はいれちゃいけないと思う。

橋本

Googleみたいなものがもう出てこないというのが、残念な感じがしますが

梅田

しばらくはね。


Microsoftと同じ。
Microsoftができて、MSに代わるものは出にくくなった時代があった
それと同じ

橋本

10年くらいのスパンで、ということですか

梅田

いろんな意見があっていいけど
ぼくはそう思っています

橋本

10年後でいいんですけど
もし次にGoogleみたいなものがでてくるとして、梅田さんはどう予想する?


梅田

難しいなー
Googleを倒すものがあったとして、それが会社かがわからない
オープンソースとか、P2Pとか、そういう毛色の違うものが出てきているときに、
そういうのを会社でできるかというのに確信が持てなくて


(会社でないとしたら…:橋本)
会社でないとしたら、ただ何かのソフトとか


(何かソフトというと…:橋本)
Wikipediaみたいなやつ?:山岸)


Wikipediaは集中だから違う
そうじゃなく、分散した何かがあって、ただ便利
「それで、産業は、なくなる」みたいな (うはは、シビれる:山岸)


それくらい大きな変化がないと、Google/amazonみたいな、
これからの2nd decadeのプラットフォームは強固だと思う。


そのへん山岸さんどうよ

山岸

あのレベルには急にはいけないと思う


お金の流れが変わっていく中で、どうチャンスを取るかという話なんですが、
いちおう、Web2.0であるかはおいといて、(笑)
この本の中にあった三大潮流、インターネット・オープンソースチープ革命みたいな
切り口で言うと、うちの会社はオープンソースチープ革命の2つはうけている。
PHPの日本人コミッター3人のうち2人いる


コストは劇的に安い。
GREEもやっているし、GREEで稼ぎながら、他のアプリケーションもバンバン作れる
その中から何か生まれる可能性はあるなーと思っていて、
圧倒的にコストが安くなっていることから、何かが生まれるんじゃないかと


収益源をGoogle AdSenseに依存していればそこより大きくなれないし、
そこをどうお金にするのかという話と対になっちゃうのかなと思います

第2部 質疑応答 (1)

秋山

梅田ブログの招待者の一人です。
自分もGoogleアフィリエイトとかamazon Webサービスを使ってやっているんですが、


GREEに入会したとき、GREEは何でもうけているんだろう?と思って、
レビューのアソシエイトでもうけているのかなーと思っていたんですが、
広告と、アフィリエイトのバランスってどうなのか教えてほしいというのが一点


あと、玉石混合を振り分ける技術があるといいますが、
最近Googleを使っていて、石の部分が増えてきたと思う。


最初SNSをみたとき、純粋な世界でいいなーと思った
自分の知り合いがいっぱいいる、それは正しく認証されている


いまやGREE/mixiでも、2chで言えばすぐ入れるとか、捨てIDとか、
石の部分、ノイズが増えてきた気がする
今後、どう純粋さを保っていくつもりなのかということと、


あと、フレンドパークみたいなオープンなSNSとの切り分け
その辺聞かせてください

山岸

売り上げについては、細かい金額はあれですが、
圧倒的に広告の方が大きいです。
レビューも40万件あって、結構ありますが、全然違う
本が売れた中から落ちてくるというのは、限られてくるかなと


あと売れているものを見ても、すごいロングテールで、
ベストセラーが多いわけではない
読んだ後に書いているからかもしれないけど、レビューが多いから売れているとは限らない。


一回、月に五冊売れてすごいなーと思ったら、
うちの社長の田中書いた本(asin:4584189021)だった、とか、結構そういうレベルなんで
まだまだかなという感じはします。


あと純粋さという意味では、とはいえGREEはそんなに荒れてないかなと。
変な人は入ってくる。アダルト系業者とか。
そういうとき、一時間くらいで通報があって、対応しているので
荒れにくいかな


厳密にはできていないけど、
いまの招待制の仕組みと、ユーザからの連絡で、
ある程度、やれるかな
ブログのトラックバックスパムみたいなひどいことにはなっていない

秋山

GoogleSEOとの戦いじゃないかと思う。
BMWGoogle八分とかもありましたが、
これからもGoogleは勝てるのか?

梅田

そこは勝てるんじゃないかな。
Googleが万全とは言えないかもしれないけど、
そういう倒れ方は、あんまりないような気がする。

第2部 質疑応答 (2)

金子

GoodPicの金子です

本の最後、「脱エスタブリッシュへの旅立ちの第一歩」で終わってますが
広告とか今日のテーマを、いちブロガーから見れば、
皆さんエスタブリッシュじゃないのか?と思う。


エスタブリッシュをした先、10年後の自分の生活をどう考えているのか?


梅田

難しい質問だけどー
今日の最後の答えという意味も含めて総括すると


ぼくもがんばったけど、年齢的な限界はあるんじゃないかなと思った。
前半の議論の最後も、
自分より10年以上若い人たちはもっとオプティミスティック(楽観的)にネット側から
ものを見ているとおもった。


ぼくも一所懸命、今までの世界から、はてなに参画したり、若い人と一緒に考えようとか
エスタブリッシュから表に出てこようとしている


といっても、いまの質問にあったほど、全然違うところをイメージしているわけではない。
いまこの会場にいる人の平均年齢が30ちょっとだとすると、その世代と私とはひとまわり違いがあって、
さらに20歳位の人たちと二回り違いがあって、
そこには、同じ言葉を使っても、随分違いがあるんだなーと思いました。


いまの質問の話に答えると、
「ご期待の程すごいことは考えてません」ということです(笑)

橋本

ぼくも梅田さんの脱エスタブリッシュメントの話を聞いたとき、
梅田さんは両方のことを言っているなと思った


そういうビジネスモデルはありえないと言いつつ、そういう会社に投資をしてたり
そんなに早くは動かないと言いつつ、大変化が起こるとか言ってみたり、


梅田さんには、そういうアンビバレントなところがあって、
どちらの層もひきつけているような気がします。


今日はどうもありがとうございました。

懇親会

梅田さんは、芋焼酎を飲んでいた
なんというか、この人の前で自分の夢を一時間でいいから語らせてほしい、そう思わせる雰囲気の人だった。


梅田さんのお言葉:
フォーサイトの時はフラフラになって帰って見てみたらすごいびっくりした。
こりゃやばいと思って、それについてのエントリを書いた。
一歩間違えば、超やばいことになっていたかもしれないわけだから。

ログを書いていて

R30さんは、話し方が一気貫通しているので、非常にログしやすかった
きっと、喋る前に起承転結が頭の中でできているんだろうな。